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<なぜロシアだけなのか>

  • 2022/03/28 14:46

<なぜロシアだけなのか>

小沢一郎議員を支援する会 

代表世話人 伊 東   章

 

1、

ロシアとウクライナの外交交渉が決裂して、2022年2月25日にロシアがウクライナに侵攻した。

冬の北京オリンピックが行なわれている間から、ロシアによるウクライナ侵攻がとり沙汰され、西側諸国からは盛んにロシアを牽制する動きが活発化していた。その結果、ロシアのウクライナ侵攻以降、西側諸国(主としてG7と呼ばれる現在の資本主義列強、もしくは帝国主義列強)は、矢継ぎ早にロシアに対する経済制裁を発動し、ロシアに対する経済封鎖を進めている。又、北京冬季オリンピックからも締め出している。

それと同時に、アメリカ、日本を初めとする「自由」主義陣営のメディアは、「侵略者ロシア」を非難し、「被害者」ウクライナを支援するキャンペーンを展開している。

日本では、国会がロシアの侵攻を非難する決議を、ほぼ全会一致で行なうという、かつて例のない動きを見せている。

おまけに、戦争の一方の当事国であるウクライナの大統領だけに、国会での演説の場を与えている。

正に、侵略者ロシア・プーチン、被害者ウクライナ・ゼレンスキーという図式が定着しつつある。

しかし、問題は、それ程単純なものなのか否か、一度落ち着いて考えるべきではないだろうか。

 

2、

一定の軍事大国が弱小国家に武力で進行する例というものを、私達は過去に、いやという程見てきた。

最も近くは、アメリカによる2001年のアフガニスタン、イラクに対する破壊的な侵攻、侵略である。

いずれも、当時アメリカの大統領であったブッシュ・ジュニアが、同年の同時多発テロに対する復讐の念で、殆ど何の合理的根拠も無しに、独立国であるアフガンとイラクを攻撃、占領し、その指導者を処刑し、国土を破壊した侵略戦争である。

その時、少なからぬ国と人々がアメリカの蛮行に対する非難、批判を投げかけたものの、現在のロシアのウクライナ侵攻に対する程の非難、批判をしたであろうか。

アメリカのアフガン、イラク侵略に対しては、イギリス、フランス、カナダ、オーストリア等は当初からこれを支持、協力し、日本も直接参戦はしなかった(憲法上、当然参戦できない)ものの、アメリカの侵略を全面支持、支援したことは間違いない。

況んや、国会がアメリカの2つの侵略戦争を弾劾する決議をした、などということは聞いたこともない。又、他国の侵略を理由として、アメリカをオリンピックから排除した、という話も聞いたことはない。

しかし、その後約20年経って、アメリカのアフガン、イラク侵攻の根拠は皆無であったことが明らかにされた(元々根拠無いことは明らかであったのだが)結果、アメリカによる両国の侵略に道理が無かったことが世界に認知されることとなった。

しかし、それによって、失なわれたアフガン、イラクの人民、財産、プライドというものが回復し得たのであろうか。

 

3、

そもそも、今回のロシアによるウクライナ侵攻には、どのような意味があるのだろうか。

大手メディアや政府の報道によれば、単に覇権国家ロシアの狂言的指導者プーチンが、何ら罪のない無辜のウクライナを侵略しに行っている、としか理解されない。

しかし、本当にそうなのであろうか。

大手メディアや政府発表を真に受けるならば、確かにプーチンロシアは、手に負えないナラズ者国家ということになる。

もしそれが真実ならば、アメリカやイギリスは何故、イラク、アフガン攻撃と同じように、ロシアに対する軍事制裁をしないのであろうか。

何故、迂遠な経済制裁などをしているのであろうか。

それとも、ロシアが有数の軍事大国なので、武力では対抗しにくいからか。

その一面も否定し得ないであろう。

とは言え、日本を含むアメリカや欧米などのG7グループは、ウクライナの軍事作戦を支援するために、武器、弾薬、兵員、現金など莫大な軍事支援を行ない、事実上、ロシアとの戦争に参加しているのである。

いずれにしろ、ウクライナ問題は、もっと根が深い事情を抱えている。

 

4、

91年にソ連が崩壊するに伴ない、ソ連邦を形成してきた多数の共和国がソ連邦を離脱し、独立した。

ウクライナもその一員であるが、その際ウクライナはEU、NATOには加盟しないことを独立の条件としている。

又、ウクライナの構成員は、その大半がロシア民族であり、歴史的にも長い間ロシアの一部であった、という事情もある。

更には、ウクライナ国内の一部であるドネツク、ルガンスクの2共和国が独立を宣言し、これをウクライナが承認せず、ロシアが支持している、という事情もある。

そして、ソ連邦崩壊後、ソ連陣営から離脱した東ドイツ(今は統一ドイツ)、ポーランド、ルーマニア等々が、NATO、アメリカ寄りとなり、今やウクライナがロシアと西側の緩衝地帯となっている。

こうした諸般の状況の中で今回のロシアによるウクライナ侵攻がなされているものであって、その根拠はアメリカによるアフガン、イラク侵略に比して遥かに理由のあるものである。

ウクライナが、これ程までに、兄弟国とも言えるロシアに対して敬対的なのは、その背後にウクライナをEU、NATOに加盟させ、対ロシアの西側の防壁あるいは橋頭堡にしたい、というアメリカと西側諸国の強い思惑があるからに外ならない。

 

5、

日本政府及び各メディアが、アメリカのアフガン、イラク侵略においては、殆どまともな批判、非難をもしなかったのに、ことロシアに対しては、これ程ヒステリックな批判、非難を集中するということは、つまるところアメリカの国益を第一に考えているからに外ならない。

日本のメディア、評論家というのは、自分の国の政府が行なっている数多の犯罪的行為に対しては極めて寛大である反面、外国(但しアメリカを除く)における人権問題(中国のチベット問題やロシアのウクライナ侵攻)に対しては、極めて敏感で積極的に対応するところがある。

その影響で、日本人が非難の目を向ける対象は、中国、北朝鮮、ロシア、韓国等で、主として現在又は過去の社会主義国家、あるいは過去日本が占領していた国々だけであり、いわゆる先進国と言われる米英仏伊等には及ばない。

又、アメリカや日本の企業が影響力を及ぼしているミャンマーの軍事独裁、人民虐殺についても、日本や西欧諸国はこれを放置している。

アメリカが、事実上日本を占領している侵略国家であってもだ。

要するに、日本人の批判力とか批判精神というものは、殆ど(アメリカに従属する)政府とその広報機関であるマスメディアによって刷り上げられたものに過ぎない、ということである。

確かに、軍事大国が弱小国を武力で攻めることは、一般的には良くないことであろうし、又、戦争より平和が好ましいことも間違いない。

しかし、国と国、国内における各勢力間の戦争が起る必然性は決して否定し得ないところである。

その場合、戦争がいかなる原因で生じ、それぞれの主張のいずれが正しいのか、ということは、決して表面的な現象のみからは理解できないものでる。

そのことを先ずもって自身の頭で考えることが必要である。

そして、それ以上に大切なことは、先ず、自分の国の政治家、指導者の言動が、真に国民のためのものであるか否かの見極めをすることである。

自分の国の恥部、弱点を覆い隠して他国のことを批判するなど、本末転倒である。



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