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「反共」という名の反人民主義

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「反共」という名の反人民主義

― なぜ野党共闘をしないのか ―

伊東 章

 

1、

 本年10月24日に行なわれた共産党(志位委員長、小池書記局長、穀田国対委員長)との会談により、立憲民主党の泉代表から「次の総選挙では(共産党との)連携と力合わせ(協力のこと)をしていきたい」との申出があり、双方が合意した。

 ところが、それから日も経たない連合(芳野会長)と立憲民主党(泉代表)の話いで、芳野会長が「共産党と共闘する立憲党の候補者には、連合として応援しない」と宣言されるや、泉代表は「10月24日の共産党との話合いは、単にごあいさつに伺っただけで(選挙協力を約束したわけではない)」と弁明した。

 そして、11月14日に至ると、次に国民民主党の玉木代表が、立憲民主党が共産党との間で次の総選挙に向けた協力を話し合ったことに反発して「共産党と協力する政党とは協力できない」と強調した。

 立憲民主党の泉代表、国民民主党の玉木代表の上記対応は、いずれも選挙母体となっている連合の芳野会長の反共的立場を忖度したものである。

 

2、

巷間言われるところでは、現連合会長の芳野は、強烈な反共主義者であり、統一教会の影響を強く受けているとのことである。

 そもそも、労働組合というものは、資本主義社会の中で、圧倒的に力の強い資本家(経営者)からの抑圧を受け、搾取され、貧しい生活を強いられている労働者の立場に立って、少しでもその生活を向上させ、基本的権利を拡大させることを目的にしているものである。

 従って、労働組合の役割、考え方というものは、自ずと社会主義的なものになるのが当然である。

 そして、共産主義という社会は、社会主義が進化し、生産力と人々の道徳が高度に発展し、個人が完全に解放される社会のことで、その主役となるのは、社会的弱者である労働者であり、大半の国民なのである。

 つまり、共産主義(社会主義)というのは、本来労働者のための思想であって、それ以外のなにものでもない。

 にも拘らず、労働者の組織である連合が、ハナから共産主義に敵対するということは、即ち、それは労働者の団体でもなければ、労働者を守るための組織ではない、ということである。

 一説では、連合の芳野会長は、アメリカのCIAの肝いりで結成された反共政党である旧民主党が設立した富士政治大学校とかいう反共労働者研修団体に入って反共教育を受けたバリバリの反共主義者であり、それがまだ未成年の頃からジューキミシンの労働組合の専従員から成り上がって、連合の会長になってしまったそうである。

 本来は社会主義の政策を目指すべき連合がこのような反共主義にコリ固まった労働貴族を代表者に祭り上げてしまったことが、まずもって大きな過失であるが、本来労働組合とは一線を画すべき政党のリーダーが、このような反共主義者の戯言に脅されて右往左往していることも大きな過ちである。

 

3、

 現在の日本の政治状況の中で、自公政権に代わる政権を実現するためには、自公を除く主要な野党が一本化して立ち向かう以外に方法がないことは、小さな子供にでも容易に判ることである。

 そして、過去の国政選挙の結果を見ても、自公以外の野党が一本化して闘えば、容易に政権交代が可能であることは、2009年の経験から明白なことである。

 2009年で民主党が308議席を獲得した前後の総選挙の結果を見れば良い。 2005年9月の総選挙では、自公が327議席に対して、民主党と共産党、社民党合計で129議席であった。

 しかし、2009年の総選挙では、自公が140議席に対し、民主が308、共産、社民、国民新が19、与党合計で327議席であった。

 そして、2012年の総選挙では、自民294、公明31で計325議席、他方民主は57議席と惨敗している。

 このように、小選挙区制の下では、多数派と少数派は、劇的に交代しうるのである。

 立憲民主党の泉代表は、共産党との選挙協力、連携をうたいながら「次回選挙で自公の当選者を最大限減らす」とか「次の選挙では政権を狙わず、ホップ・ステップ・ジャンプで5年先位での政権実権交代を目指す」などと間抜けた発言をしている。

 そして、岡田幹事長、安住国対委員長などもこれを支持している。

 一体、この連中は、真面目に政治を行なう意思があるのか、と言いたい。

 今、国民が物価高、格差、貧困であえいでいるのに、手を差しのべようとしないばかりか、あと5年間辛抱して待ってくれ、というのならば、率直に言って、今すぐ政治家の看板を下ろしてくれ、と言いたい。

 前述のように、野党がきちんと連携、協力すれば、いつ、何時選挙があっても政権交代を実現することは可能なのである。

 にも拘らず、それに向かって努力をしない、ということは、政権交代をしたくない、政権を奪取してはならない事情が有る、と考えざるをえない。

 

4、

 連合の芳野会長は、2021年10月に前の神津会長の後を継いだが、就任早々から自公安倍政権にスリ寄り、文字通り自公政権のメカケのような存在になり下がった。

 本来であれば、労働者の権利、生活のために臥薪嘗胆すべきなのに、日夜、権力政党の重鎮や財界幹部との会食に付き合い、本来の労働運動発展のためには何一つ貢献していない。正に労働貴族そのものである。

 そして、労働者の権利、地位向上のための運動(ストライキなど)を一切やらない代わりに、政権、経営者の旦那に媚びを売って、労働者の賃上げをお願いしている始末である。

 その見返りとして、労働者、労働組合には労働運動をしないよう指導し、かつ野党勢力に対しては「共産党とは絶対連携しないように」「政権交代などは目指さないように」と指示しているのである。

 つまり、今の連合又はその指導者である芳野は、自公政権、財界、ひいてはアメリカの手先として日本の労働運動ばかりか政権交代をも妨害しているのである。

 

5、

 芳野連合会長の行動を見れば、連合(又は会長)の思惑というものが一目瞭然でありながら、立憲民主党、国民民主党の幹部が、それに唯々諾々として従うのは、何故なのか。

 正に彼ら自身が芳野会長と同じ考え方を抱いているからに他ならない。

 つまり彼らは、一見労働者、国民の味方面をして選挙の際の票を求めるものの、自分達が当選してしまうと、労働者や国民の利益を無視して政府や財界(原発業者など)のために尽力するのである。

 彼らには、真に労働者や国民のための政治を実現しようなどという考えは毛頭無いのである。

 彼らの頭の中は、労働者や国民の生活、権利の問題ではなく、いかに自分達が立身出世するか、が優先しているのである。

 この点では、自公政権を担う面々と全く変らない。

 かつて、2009年の民主党政権樹立後、同政権の大臣、副大臣などをつとめた松本剛明、細野豪志、長島昭久などは、その後野党生活に我慢できずに自民党入りし、松本などは今や自公政権の大臣にまで納まっている。

 国民民主党の玉木代表なども、民主党時代には小沢一郎議員の薫陶を受けながら、今や一刻も早く自公と合体、連合して大臣になりたくて仕方ないのである。

 

6、

 要するに、野党議員、労働組合幹部と言いながら、その実態は時の権力におもねり自己の栄達のみを目指す輩が少なくない、というのが現実の政治状況なのである。

 野党が必死に追及すればいつでも政治権力を獲得することができるのに、そのことに注力せず、むしろ野党を分断し、統一を妨害するというのは、つまるところ彼らが労働者や国民の味方ではなく、一見味方面をして敵の望むことに協力しているに過ぎないのである。

 従って単に野党であるから、という理由だけで彼らがすべて労働者、国民の味方である、と決めてかかるわけにはいかないのである。

 問題は、連合にしろ、野党にしろ、労働者、国民の代表者、味方面をしながら敵を利するような行動をする輩を、何故労働者、国民が支持、支援するのかということである。

 この点に労働者、国民の弱体化、愚かさを認めないわけにはいかない。

 労働者、国民が正しいものの見方をできれば、常に理想の政府、政治を期待できるわけであるのにそれが出来ていないために常に自分達の首を絞める政府、政治家の跋扈を許しているのである。

 

7、

 結局のところ、労働者、国民がいかにして世の中のことを正しい眼で見、考えることができるか、にかかっていると言える。

 このことは、国民に対する教育の問題として考えざるを得ない。

 国民は、産まれた途端に肉親、友人、学校、マスメディアを含む社会から日常的に教育を施されている。

 それらの情報源は基本的には各時代の権力者及びそれに追随する者であり、それらは権力者に都合の良い情報を洪水のように垂れ流している。

 その中で歴史認識も世界観、道徳観も作られてゆく。

 これに抗して国民の立場に立った正しい世界観を身に着けることは、並大抵のことではない。

 しかし、そのことを成し遂げない限りは世の中を変えることは不可能である。

 国民の100%とは言わなくとも、せめて5%ないしは10%考え方が変れば、必ずや世の中は変らざるを得ない。

 私たちが日頃からこのようにささやかな活動を続けることによって、日々1人でも2人でも正しいものの見方をする者を増やし続けることが、いずれ公正で正しい社会の実現に繋がることを確信すべきである。

 

以 上

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