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<政権交代とはどのようなことか>

  • 2024/02/07 13:21

小沢一郎議員を支援する会
代表世話人 伊東 章

1、何故政権交代は必要か
 (1) 「権力は腐敗する」と言われます。
   特定の者、集団が長期間権力の座を独占している状態(日本を初め多くの国の政治に同様の現象が見られます)は、即ちそれに反対する政治勢力が弱いことを意味します。
   独裁者に反対する勢力が弱ければ、(多くの場合)独裁者とそのとり巻きにとって利益になる、都合の良い政治が行なわれがちになるのは当然です。
   2012年からほぼ10年にわたり日本の政治支配者であった安倍晋三が、森友学園、加計学園、桜を見る会などで自分の仲間内だけに利益となるような政策を次々と実現したことは、その最たるものです。
   先進諸外国のように頻繁に政治指導者が交代する体制の下では、指導者が自分とその仲間にだけ有利な政治を行なうことは遙かに困難を伴ないます。
 (2) 又、目に見える財産だけではなく、国が有する膨大な情報も又、国民にとっては、カネや物以上に重要な国民の財産です。
   これも、政治権力が次々と変更する社会では、一部の特権階級が、これを独占し、国民の目から覆い隠すことは困難です。
 (3) このような理由から、国の政治権力が交代せず、長期間特定の者、集団が富や情報を独占し易い長期政権の存在は、民主主義国家にあっては許し難いものなのです。
   政権交代をする必要性、政権交代をし易い政治状況を実現する必要性は、民主主義政治にとって最も重要なことが、以上の理由からも明らかです。
2、何のために政権交代をするのか
 (1) 政権交代をすることによって、政治の有り方を透明なものにし、風通しを良くすることが民主主義政治に欠かせないことであるとしても、それでは、どのような政権に交代する必要があるのでしょうか。
   仮に独裁政治であっても、それがすべての国民にとって平和かつ幸福で豊かな生活を保障してくれるものであれば、別に政権交代をする必要もありません。
   しかし、現実には、そのような理想的政治は、今のところ期待することが困難です。
   そのため私達は、よりベターな政治を求めて民主主義制度を採用したわけです。
   民主主義制度の利点は、間違った考え方、間違った政策が横行し、国民を不幸にしている時は、これと異なる、より良い政治を選択できる、ということです。
   つまり、今有る政治よりも良い政治を実現するために、政権を交代するのであって、今より更にひどい政治にするために政権を交代する必要はないのです。
 (2) 同じ野党の中にも、その目的、政治手法において自公政権を支える党よりも遙かに反動的で、反民主主義的な政党があります。
   政権交代が必要であるからと言って、このような現在の政権政党よりも反動的、反民主主義的な政党による政権交代を私達が目的とすることはありません。
   そのことだけは、何があっても絶対に押さえておかなくてはなりません。
3、政治権力とは何か
 (1) 国の政治というものは、それぞれの国が代表者(大統領、首相等)を決め、それが国の仕事を行なう役人を使って、内政と外交問題を扱うという形で行なわれています。
   国の代表者は、何らかの団体(主として政党)から選出され、その団体の方針、意向、思想に従って国の政治に関わるため、その選出母体(政党)が実際にはその国の政治を動かしていることになります。
   但し、政党も、それぞれが支持母体(業界、労働組合等)を有していて、その支持母体の考え方が政党を事実上支配しているため、厳密には、それぞれの支持母体の利益に基いて政治が行なわれている、と言えます。
 (2) 日本では、議院内閣制という制度がとられているため、衆議院選挙で過半数を得た政党が内閣を組織し、政権を獲得します。
   従って、総選挙で勝利すれば、一応は政治権力を握ったことになります。
   しかし、前述のとおり、政治権力を支える基盤は、各政党を支える支持団体(財界、労働組合、各種社会団体等)あるいは、実際の政治実務を司る国、地方の官僚組織、国民に広く情報を伝えるマスメディア等々です。
   いかに総選挙で勝利したからといって、その政党やリーダーが思い通りの政治をできるなどという単純なものではありません。
   前述の各政党の支持基盤となっている無数の組織が実質上の政治権力を握っている以上、これらの組織を含めて掌握しない限り、安定した政治権力を獲得することはできません。
   2009年に民主党が総選挙で勝利して政権を獲得したものの、僅か3年間でこれを奪い返されたのは、これら権力の支持基盤となる官僚組織等の団体を広く掌握し切れなかったことが原因です。
   政治権力というのは、国会内における多数派だけでなく、それを支える多くの社会的権力をも含むものなので、1回だけ総選挙に勝つだけでは、政治権力を100パーセント掌握することは出来ないのです。
   しかし、まずは、選挙という合法的手段によって国会(立法府)の多数派を形成することが政治権力獲得の第一歩ということになるので、とにかく、選挙によって多数派を形成しなくては始まらないのです。
 (3) その上で、獲得した政権を支えるために、社会のあらゆる団体(と言っても、絶対的に国民の権力に反対する勢力(=財界、米国等々)に対しては、引き続き闘っていく必要があります)を新しい政権の支持母体に変えてゆくための努力を続ける必要があります。
   それとともに、自分達が交替させた政権が、腐敗、堕落し、国民に対して逆に牙をむいてくることがないように監視、監督をし続けることも欠かせません。
   このように、民主主義体制を築き、これを守り抜くためには、国民の不断の努力が必要なのです。
   一度だけ総選挙で勝てば、それですべてが良くなる、というわけにはいかないのです。

 

安倍元総理の国葬を今こそ糾弾すべき

小沢一郎議員を支援する会
代表世話人 伊東 章


1、2012年12月に2回目の総理大臣に返り咲いた安倍晋三は、その後ほぼ9年間にわたり日本の政治を壟断し、お仲間とともに甘い汁を吸い続けた。
  しかし、その報いというべきか、2022年7月には暴漢の凶弾に倒れ、その人生を閉じた。
  祖父(岸信介総理)の代から強力に肩入れしてきた、反共集団統一教会の関係者によって暗殺されたこと自体、皮肉なことと言わざるを得ない。
  とは言え、彼が総理就任中に次々と打ち出した政策は、いわゆる「アベノミクス」の名称を冠され、長い間日本を誤った道に引きずり込み、日本の失われた30年を支えてきた。
  「アベノミクス」に象徴される国の政策は、その後の菅、岸田両内閣によっても受け継がれ、その弊害は国の津々浦々にまで及び、今や我が国は経済的にも政治的にも社会的にも、先進国とは呼べないほど疲弊し堕落し切っている。
2、それにも拘らず、菅総理を継いだ岸田内閣は、大多数の国民の反対を押し切って令和4年9月には大々的に安倍元総理の国葬を強行し、安倍の神格化を図った。
  その影響などもあって、全国の書店には、いまだに安倍を神格化し安倍をメシの種にするネトウヨの雑誌が氾濫している始末である。
3、ところが令和5年11月に入り、自民党の各派閥の政治資金パーティーにおける収入が大半は政治資金収支報告書に記載されず、各派閥の所属議員がそれぞれ数千万円単位を裏金として隠匿、費消していたことが発覚するに至り、各派閥が弥縫的に解散を宣言し始める事態となった。
  派閥の中でも特に、安倍が長期間総理、総裁の地位にあった影響で最大派閥となった安倍派の政治資金パーティーの売上高が際立って大きく、派閥の多くの幹部が裏金づくりに直接関与して、莫大な裏金を手に入れていたことも判った。
  もちろん、裏金づくりは自民党のほぼ全派閥、全議員が関与しており、ひとり安倍派の議員に限らないが、その根幹には、長期間政権を独占し、自身とその仲間内の利益のために「アベノミクス」を利用し国民の生活を破壊してきた安倍元総理の思想、政治行動が存在することを、忘れてはならない。
  従って、現在検察から刑事責任を追及されている議員が最も多い派閥が安倍派であることは当然である。
4、結局のところ、安倍元総理の約9年間の政治的実績というものが、日本の社会、経済、文化の発展などではなく、自身と仲間内だけの利益のためにのみ国の予算と組織を悪用、独占すること、ひと言で言えば、日本を無法国家にしたことに尽きると言える。
  そのような実態をまったく無視して、安倍を「大きな実績を様々な分野で残した、卓越したリーダーシップと実行力で首相の重責を果たした」などと持ち上げて、国民大多数の反対を押し切り、巨額の国費を投じて安倍元総理の国葬を強行した岸田内閣は、一体、悪徳安倍元総理の国葬について、いかなる弁明ができるのであろうか。
  既に終ったのだから後からとやかく言うべきでない、という言い訳は、国政を担う立場の者には通用しない。
  野党は、改めて安倍元総理の国葬問題について、岸田自民党を厳しく追及すべきである。

 

以 上

「反共」という名の反人民主義

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「反共」という名の反人民主義

― なぜ野党共闘をしないのか ―

伊東 章

 

1、

 本年10月24日に行なわれた共産党(志位委員長、小池書記局長、穀田国対委員長)との会談により、立憲民主党の泉代表から「次の総選挙では(共産党との)連携と力合わせ(協力のこと)をしていきたい」との申出があり、双方が合意した。

 ところが、それから日も経たない連合(芳野会長)と立憲民主党(泉代表)の話いで、芳野会長が「共産党と共闘する立憲党の候補者には、連合として応援しない」と宣言されるや、泉代表は「10月24日の共産党との話合いは、単にごあいさつに伺っただけで(選挙協力を約束したわけではない)」と弁明した。

 そして、11月14日に至ると、次に国民民主党の玉木代表が、立憲民主党が共産党との間で次の総選挙に向けた協力を話し合ったことに反発して「共産党と協力する政党とは協力できない」と強調した。

 立憲民主党の泉代表、国民民主党の玉木代表の上記対応は、いずれも選挙母体となっている連合の芳野会長の反共的立場を忖度したものである。

 

2、

巷間言われるところでは、現連合会長の芳野は、強烈な反共主義者であり、統一教会の影響を強く受けているとのことである。

 そもそも、労働組合というものは、資本主義社会の中で、圧倒的に力の強い資本家(経営者)からの抑圧を受け、搾取され、貧しい生活を強いられている労働者の立場に立って、少しでもその生活を向上させ、基本的権利を拡大させることを目的にしているものである。

 従って、労働組合の役割、考え方というものは、自ずと社会主義的なものになるのが当然である。

 そして、共産主義という社会は、社会主義が進化し、生産力と人々の道徳が高度に発展し、個人が完全に解放される社会のことで、その主役となるのは、社会的弱者である労働者であり、大半の国民なのである。

 つまり、共産主義(社会主義)というのは、本来労働者のための思想であって、それ以外のなにものでもない。

 にも拘らず、労働者の組織である連合が、ハナから共産主義に敵対するということは、即ち、それは労働者の団体でもなければ、労働者を守るための組織ではない、ということである。

 一説では、連合の芳野会長は、アメリカのCIAの肝いりで結成された反共政党である旧民主党が設立した富士政治大学校とかいう反共労働者研修団体に入って反共教育を受けたバリバリの反共主義者であり、それがまだ未成年の頃からジューキミシンの労働組合の専従員から成り上がって、連合の会長になってしまったそうである。

 本来は社会主義の政策を目指すべき連合がこのような反共主義にコリ固まった労働貴族を代表者に祭り上げてしまったことが、まずもって大きな過失であるが、本来労働組合とは一線を画すべき政党のリーダーが、このような反共主義者の戯言に脅されて右往左往していることも大きな過ちである。

 

3、

 現在の日本の政治状況の中で、自公政権に代わる政権を実現するためには、自公を除く主要な野党が一本化して立ち向かう以外に方法がないことは、小さな子供にでも容易に判ることである。

 そして、過去の国政選挙の結果を見ても、自公以外の野党が一本化して闘えば、容易に政権交代が可能であることは、2009年の経験から明白なことである。

 2009年で民主党が308議席を獲得した前後の総選挙の結果を見れば良い。 2005年9月の総選挙では、自公が327議席に対して、民主党と共産党、社民党合計で129議席であった。

 しかし、2009年の総選挙では、自公が140議席に対し、民主が308、共産、社民、国民新が19、与党合計で327議席であった。

 そして、2012年の総選挙では、自民294、公明31で計325議席、他方民主は57議席と惨敗している。

 このように、小選挙区制の下では、多数派と少数派は、劇的に交代しうるのである。

 立憲民主党の泉代表は、共産党との選挙協力、連携をうたいながら「次回選挙で自公の当選者を最大限減らす」とか「次の選挙では政権を狙わず、ホップ・ステップ・ジャンプで5年先位での政権実権交代を目指す」などと間抜けた発言をしている。

 そして、岡田幹事長、安住国対委員長などもこれを支持している。

 一体、この連中は、真面目に政治を行なう意思があるのか、と言いたい。

 今、国民が物価高、格差、貧困であえいでいるのに、手を差しのべようとしないばかりか、あと5年間辛抱して待ってくれ、というのならば、率直に言って、今すぐ政治家の看板を下ろしてくれ、と言いたい。

 前述のように、野党がきちんと連携、協力すれば、いつ、何時選挙があっても政権交代を実現することは可能なのである。

 にも拘らず、それに向かって努力をしない、ということは、政権交代をしたくない、政権を奪取してはならない事情が有る、と考えざるをえない。

 

4、

 連合の芳野会長は、2021年10月に前の神津会長の後を継いだが、就任早々から自公安倍政権にスリ寄り、文字通り自公政権のメカケのような存在になり下がった。

 本来であれば、労働者の権利、生活のために臥薪嘗胆すべきなのに、日夜、権力政党の重鎮や財界幹部との会食に付き合い、本来の労働運動発展のためには何一つ貢献していない。正に労働貴族そのものである。

 そして、労働者の権利、地位向上のための運動(ストライキなど)を一切やらない代わりに、政権、経営者の旦那に媚びを売って、労働者の賃上げをお願いしている始末である。

 その見返りとして、労働者、労働組合には労働運動をしないよう指導し、かつ野党勢力に対しては「共産党とは絶対連携しないように」「政権交代などは目指さないように」と指示しているのである。

 つまり、今の連合又はその指導者である芳野は、自公政権、財界、ひいてはアメリカの手先として日本の労働運動ばかりか政権交代をも妨害しているのである。

 

5、

 芳野連合会長の行動を見れば、連合(又は会長)の思惑というものが一目瞭然でありながら、立憲民主党、国民民主党の幹部が、それに唯々諾々として従うのは、何故なのか。

 正に彼ら自身が芳野会長と同じ考え方を抱いているからに他ならない。

 つまり彼らは、一見労働者、国民の味方面をして選挙の際の票を求めるものの、自分達が当選してしまうと、労働者や国民の利益を無視して政府や財界(原発業者など)のために尽力するのである。

 彼らには、真に労働者や国民のための政治を実現しようなどという考えは毛頭無いのである。

 彼らの頭の中は、労働者や国民の生活、権利の問題ではなく、いかに自分達が立身出世するか、が優先しているのである。

 この点では、自公政権を担う面々と全く変らない。

 かつて、2009年の民主党政権樹立後、同政権の大臣、副大臣などをつとめた松本剛明、細野豪志、長島昭久などは、その後野党生活に我慢できずに自民党入りし、松本などは今や自公政権の大臣にまで納まっている。

 国民民主党の玉木代表なども、民主党時代には小沢一郎議員の薫陶を受けながら、今や一刻も早く自公と合体、連合して大臣になりたくて仕方ないのである。

 

6、

 要するに、野党議員、労働組合幹部と言いながら、その実態は時の権力におもねり自己の栄達のみを目指す輩が少なくない、というのが現実の政治状況なのである。

 野党が必死に追及すればいつでも政治権力を獲得することができるのに、そのことに注力せず、むしろ野党を分断し、統一を妨害するというのは、つまるところ彼らが労働者や国民の味方ではなく、一見味方面をして敵の望むことに協力しているに過ぎないのである。

 従って単に野党であるから、という理由だけで彼らがすべて労働者、国民の味方である、と決めてかかるわけにはいかないのである。

 問題は、連合にしろ、野党にしろ、労働者、国民の代表者、味方面をしながら敵を利するような行動をする輩を、何故労働者、国民が支持、支援するのかということである。

 この点に労働者、国民の弱体化、愚かさを認めないわけにはいかない。

 労働者、国民が正しいものの見方をできれば、常に理想の政府、政治を期待できるわけであるのにそれが出来ていないために常に自分達の首を絞める政府、政治家の跋扈を許しているのである。

 

7、

 結局のところ、労働者、国民がいかにして世の中のことを正しい眼で見、考えることができるか、にかかっていると言える。

 このことは、国民に対する教育の問題として考えざるを得ない。

 国民は、産まれた途端に肉親、友人、学校、マスメディアを含む社会から日常的に教育を施されている。

 それらの情報源は基本的には各時代の権力者及びそれに追随する者であり、それらは権力者に都合の良い情報を洪水のように垂れ流している。

 その中で歴史認識も世界観、道徳観も作られてゆく。

 これに抗して国民の立場に立った正しい世界観を身に着けることは、並大抵のことではない。

 しかし、そのことを成し遂げない限りは世の中を変えることは不可能である。

 国民の100%とは言わなくとも、せめて5%ないしは10%考え方が変れば、必ずや世の中は変らざるを得ない。

 私たちが日頃からこのようにささやかな活動を続けることによって、日々1人でも2人でも正しいものの見方をする者を増やし続けることが、いずれ公正で正しい社会の実現に繋がることを確信すべきである。

 

以 上

<なぜロシアだけなのか>

  • 2022/03/28 14:46

<なぜロシアだけなのか>

小沢一郎議員を支援する会 

代表世話人 伊 東   章

 

1、

ロシアとウクライナの外交交渉が決裂して、2022年2月25日にロシアがウクライナに侵攻した。

冬の北京オリンピックが行なわれている間から、ロシアによるウクライナ侵攻がとり沙汰され、西側諸国からは盛んにロシアを牽制する動きが活発化していた。その結果、ロシアのウクライナ侵攻以降、西側諸国(主としてG7と呼ばれる現在の資本主義列強、もしくは帝国主義列強)は、矢継ぎ早にロシアに対する経済制裁を発動し、ロシアに対する経済封鎖を進めている。又、北京冬季オリンピックからも締め出している。

それと同時に、アメリカ、日本を初めとする「自由」主義陣営のメディアは、「侵略者ロシア」を非難し、「被害者」ウクライナを支援するキャンペーンを展開している。

日本では、国会がロシアの侵攻を非難する決議を、ほぼ全会一致で行なうという、かつて例のない動きを見せている。

おまけに、戦争の一方の当事国であるウクライナの大統領だけに、国会での演説の場を与えている。

正に、侵略者ロシア・プーチン、被害者ウクライナ・ゼレンスキーという図式が定着しつつある。

しかし、問題は、それ程単純なものなのか否か、一度落ち着いて考えるべきではないだろうか。

 

2、

一定の軍事大国が弱小国家に武力で進行する例というものを、私達は過去に、いやという程見てきた。

最も近くは、アメリカによる2001年のアフガニスタン、イラクに対する破壊的な侵攻、侵略である。

いずれも、当時アメリカの大統領であったブッシュ・ジュニアが、同年の同時多発テロに対する復讐の念で、殆ど何の合理的根拠も無しに、独立国であるアフガンとイラクを攻撃、占領し、その指導者を処刑し、国土を破壊した侵略戦争である。

その時、少なからぬ国と人々がアメリカの蛮行に対する非難、批判を投げかけたものの、現在のロシアのウクライナ侵攻に対する程の非難、批判をしたであろうか。

アメリカのアフガン、イラク侵略に対しては、イギリス、フランス、カナダ、オーストリア等は当初からこれを支持、協力し、日本も直接参戦はしなかった(憲法上、当然参戦できない)ものの、アメリカの侵略を全面支持、支援したことは間違いない。

況んや、国会がアメリカの2つの侵略戦争を弾劾する決議をした、などということは聞いたこともない。又、他国の侵略を理由として、アメリカをオリンピックから排除した、という話も聞いたことはない。

しかし、その後約20年経って、アメリカのアフガン、イラク侵攻の根拠は皆無であったことが明らかにされた(元々根拠無いことは明らかであったのだが)結果、アメリカによる両国の侵略に道理が無かったことが世界に認知されることとなった。

しかし、それによって、失なわれたアフガン、イラクの人民、財産、プライドというものが回復し得たのであろうか。

 

3、

そもそも、今回のロシアによるウクライナ侵攻には、どのような意味があるのだろうか。

大手メディアや政府の報道によれば、単に覇権国家ロシアの狂言的指導者プーチンが、何ら罪のない無辜のウクライナを侵略しに行っている、としか理解されない。

しかし、本当にそうなのであろうか。

大手メディアや政府発表を真に受けるならば、確かにプーチンロシアは、手に負えないナラズ者国家ということになる。

もしそれが真実ならば、アメリカやイギリスは何故、イラク、アフガン攻撃と同じように、ロシアに対する軍事制裁をしないのであろうか。

何故、迂遠な経済制裁などをしているのであろうか。

それとも、ロシアが有数の軍事大国なので、武力では対抗しにくいからか。

その一面も否定し得ないであろう。

とは言え、日本を含むアメリカや欧米などのG7グループは、ウクライナの軍事作戦を支援するために、武器、弾薬、兵員、現金など莫大な軍事支援を行ない、事実上、ロシアとの戦争に参加しているのである。

いずれにしろ、ウクライナ問題は、もっと根が深い事情を抱えている。

 

4、

91年にソ連が崩壊するに伴ない、ソ連邦を形成してきた多数の共和国がソ連邦を離脱し、独立した。

ウクライナもその一員であるが、その際ウクライナはEU、NATOには加盟しないことを独立の条件としている。

又、ウクライナの構成員は、その大半がロシア民族であり、歴史的にも長い間ロシアの一部であった、という事情もある。

更には、ウクライナ国内の一部であるドネツク、ルガンスクの2共和国が独立を宣言し、これをウクライナが承認せず、ロシアが支持している、という事情もある。

そして、ソ連邦崩壊後、ソ連陣営から離脱した東ドイツ(今は統一ドイツ)、ポーランド、ルーマニア等々が、NATO、アメリカ寄りとなり、今やウクライナがロシアと西側の緩衝地帯となっている。

こうした諸般の状況の中で今回のロシアによるウクライナ侵攻がなされているものであって、その根拠はアメリカによるアフガン、イラク侵略に比して遥かに理由のあるものである。

ウクライナが、これ程までに、兄弟国とも言えるロシアに対して敬対的なのは、その背後にウクライナをEU、NATOに加盟させ、対ロシアの西側の防壁あるいは橋頭堡にしたい、というアメリカと西側諸国の強い思惑があるからに外ならない。

 

5、

日本政府及び各メディアが、アメリカのアフガン、イラク侵略においては、殆どまともな批判、非難をもしなかったのに、ことロシアに対しては、これ程ヒステリックな批判、非難を集中するということは、つまるところアメリカの国益を第一に考えているからに外ならない。

日本のメディア、評論家というのは、自分の国の政府が行なっている数多の犯罪的行為に対しては極めて寛大である反面、外国(但しアメリカを除く)における人権問題(中国のチベット問題やロシアのウクライナ侵攻)に対しては、極めて敏感で積極的に対応するところがある。

その影響で、日本人が非難の目を向ける対象は、中国、北朝鮮、ロシア、韓国等で、主として現在又は過去の社会主義国家、あるいは過去日本が占領していた国々だけであり、いわゆる先進国と言われる米英仏伊等には及ばない。

又、アメリカや日本の企業が影響力を及ぼしているミャンマーの軍事独裁、人民虐殺についても、日本や西欧諸国はこれを放置している。

アメリカが、事実上日本を占領している侵略国家であってもだ。

要するに、日本人の批判力とか批判精神というものは、殆ど(アメリカに従属する)政府とその広報機関であるマスメディアによって刷り上げられたものに過ぎない、ということである。

確かに、軍事大国が弱小国を武力で攻めることは、一般的には良くないことであろうし、又、戦争より平和が好ましいことも間違いない。

しかし、国と国、国内における各勢力間の戦争が起る必然性は決して否定し得ないところである。

その場合、戦争がいかなる原因で生じ、それぞれの主張のいずれが正しいのか、ということは、決して表面的な現象のみからは理解できないものでる。

そのことを先ずもって自身の頭で考えることが必要である。

そして、それ以上に大切なことは、先ず、自分の国の政治家、指導者の言動が、真に国民のためのものであるか否かの見極めをすることである。

自分の国の恥部、弱点を覆い隠して他国のことを批判するなど、本末転倒である。



「政権交代へのステップ 7月参院選勝利のためのシンポジウム」 開催します!

「政権交代へのステップ

7月参院選勝利のためのシンポジウム」

 

ご 案 内

 

 いよいよ本年7月の参院選まで4ヶ月を切りました。

昨年の総選挙では、いくつかの要因が重なったため野党共闘による政権交代は実現しませんでした。

その後、複数の野党が現政権にスリ寄る現象も見られますが、政権交代を求める国民の声は決して少なくありません。

春の訪れとともに、小沢一郎議員を支持する参院選立候補者らを招いて、以下のとおり決起集会を開催することにしました。

皆様ふるってご参加下さるよう、ご案内旁々お願いします。

 

日   時:令和4年4月19日(火)18時~20時

場   所:参議院議員会館 B106号会議室

 主   催:小沢一郎議員勝手連連絡会

  主   旨:小沢グループの参院選候補者を応援するため、全国の小沢ファンに声掛けをして、会場とオンラインで開催する

  参加政治家:小沢グループの参院選立候補者(外)を予定

参 加 者:小沢グループを支援する方々の事前申し込みによる

 参 加 費:会場費500円  Zoom無料

申込連絡先:info@ozawavl.com

伊東章法律事務所TEL 03-3985-8502  

FAX 03-3985-8514

令和4年3月吉日

以 上

 

小沢一郎議員勝手連連絡会 主要構成グループ

小沢一郎議員を支援する会

国民の生活が第一の政治を実現する会

小沢一郎を断固支持する会

 

※なお、小沢一郎先生は、会場か、Zoomか、ビデオレターでご参加の予定です。

大メディアは権力の手先である(2)

小沢一郎議員を支援する会 

代表世話人 伊 東   章

 

「メディアの中立性とは何か?」

 

1、わが国のテレビ、ラジオは放送法によって規制されている。

放送法では、放送の目的を、日本の健全な民主主義の発達に資するために、不偏不党の立場で表現の自由を確保するものとしている。

憲法第76条では、「すべて司法権は裁判所に属し、裁判官はすべて良心に従って独立して職権を行ない、憲法と法律にのみ拘束される」として、司法権、裁判官の独立を謳っている。

どちらも、日本の民主主義を支えるべき制度として極めて立派な位置づけをされている。

ところが、その実体は、どちらも本来の存在目的とはかけ離れて日本の民主主義を破壊する役目を担っているという点で極めて酷似している。

2、そもそも、日本のメディアを牛耳る日本放送協会(NHK)の経営委員と裁判官の任命権は事実上、内閣総理大臣が握っているということである。

NHKの経営委員は、国会の両議員の同意の上で内閣総理大臣が任命し(放送法第31条)、最高裁の裁判官は内閣が任命する(憲法第79条)。

最高裁長官は、内閣の指名に基いて天皇が任命することになっている(憲法第6条)が、天皇の任命権は儀礼的なものであるから、実質は内閣が任命しているに等しい。

そして、言うまでもなく、内閣、内閣総理大臣というのは、時の権力を保持している多数党(与党)によって選出されるのであるから、つまるところ、NHKの経営委員も裁判官も、時の権力党(与党)によって任命されていることになる。

もはや、この時点でNHKの経営委員や裁判官は中立でも不偏不党でもないのである。

要するに、NHKの経営委員も裁判官も、時の権力によって選別され、任命されたものである以上、任命された段階で最早中立性は失なわれているのである。

このような制度上の有り方を全く無視してメディアの中立とか裁判官の中立性とかを論ずることは全く無意味なことである。

3、NHKは、一種の国営放送であることから時々の国の支配者に利用されることは

十分理解できるが、では民間放送についてはどうなのか。

民間のメディアも一応放送法による規制を受けているから、表向きは不偏不覚、放送の自由、独立が義務づけられている。

しかし、そもそも民放の経営は、基本的に民間企業、特に資金力を有する大企業に依存している。

そして、大企業というのは現在の政権を経済的に支える部隊である。

言わば民放は、時の政治権力を支える大企業に、その経営を依存しているのである。

そのような民放が、正しい意味での放送の中立、公正、不偏不党を貫けるとは到底考え難い。

戦後の間もない時期は、企業、メディアも今程発展していなかった上、労働運動、社会運動が隆盛を極めていたため、メディアの偏向というものが見えなかったものと思われる。

もちろん、メディアは情報を流布するのが役割なので、政治、経済、労働、社会の各問題について大きな出来事があれば率先して報道するのは当然だ。

しかし、スポンサー及びそれと連なる権力に不利益な報道は、可能な限り抑制するという最後の一線は絶対に譲らない。

メディアが一体誰の為に存在するのかを考えれば、そもそもメディアに対して期待を抱くこと自体が大きな誤りなのである。

私達としては、(例えば)日刊ゲンダイなどのように私達にとって有益な情報を提供してくれるメディアを育て、発展させることによって巨大な権力、大企業に対抗するしかない。

 

 

大メディアは権力の手先である(1)

小沢一郎議員を支援する会 

代表世話人 伊 東   章

 

1、中国の女子プロテニス選手彭帥の言動をめぐってマスメディアが一斉に騒ぎ立てている。

これに先立ってアメリカの大統領やメディア、アムネステイなどが彭帥をめぐって中国の人権侵害を弾劾している。

そのきっかけは、彭帥選手が、かつて中国政府の高官(張高麗副総理)と不倫関係にあったことを自身のブログで告白した後、公けの場に顔を現わさなくなったことである。

アメリカや各国のメディアは、中国の政府筋が都合の悪いことを隠すために、彭帥を拉致、監禁しているのではないか、とし、これが重大な人権侵害である、と言っているらしい。

なる程、全体主義中国であれば、政府に都合の悪いことにフタをするために、発言者の口封じをすることは十分に有り得ることだろう。

しかし、この問題が、すべての大メディアが一斉にニュースで取り上げる程重大な問題なのであろうか。

そもそもは、彭帥選手が国のエリートである副総理と不倫関係に陥り、それが何かの都合で破綻した後、その問題をブログで愚痴ったというだけの事件である。

自身の不倫問題を堂々とブログで公表すること自体恥知らずな所業と言うべきであるが、このような所業が中国々内で、どのような処遇を受けるかは、本人が十分理解していると言うべきである。

ましてや、彭帥は、中国と言う国家に育てて貰ったプロスポーツ選手であれば、それが国のメンツをキズつけるような言動をすれば、それなりのペナルティーを与えられても止むを得ないとも言える。

いずれにしろ、この程度の問題を大げさに報道し、今さら中国がとてつもない人権侵害をしているという西側、特に日本のマスメディアの報道ぶりは異常と言うほかない。

これによって国民の嫌中感情を煽ることが目的としか思えない。

2、そもそも、アメリカや日本のメディアが、この程度の問題で中国の人権問題を云々する資格があるのだろうか。

アメリカは、殆ど理由もなくイラクやアフガニスタンを侵略し、両国の政治、社会をメチャクチャにしたまま放り投げ、それに対する謝罪も反省も全くしていない。

女性問題で限っても、2015年にTBSテレビのワシントン支局長の山口敬之にレイプをされたジャーナリストの伊藤詩織さん事件について、帰国時空港で逮捕状が執行される直前に安倍総理のツルの一声で逮捕、立件が見送られた事件、2021年3月に名古屋入管事務所で、事実上虐殺されたスリランカのウィシュマさん事件等々、日本には数多くの人権侵害事件が惹起されている。

こうした人権問題に、日本のメディアは真剣にとり組んできたのであろうか。

  どちらかと言えば、日本のメディアは、こうした人権侵害に対しては、むしろ権力寄りの姿勢を崩していない、というのが実態である。

ここ数年続いているミャンマーの軍事政権による弾圧の問題についても、日本の

メディアは明確な反軍事政権の立場をとっていない。

それはつまり、ミャンマーの軍政と深いつながりを持つ日本政府、日本企業の姿勢と軌を一にしているということである。

WTOを初め、北京のオリンピック、テニス大会をボイコットする動きが栄んで、日本のメディアもこれに無差別に同調している。

では、日本における数々の人権侵害を理由に、日本でのオリンピック開催中止を、メディアが主張したであろうか。

結局のところ、メディアの姿勢は、現政権の姿勢、政策に追随しているだけである。

中国のプロテニスプレイヤーをめぐる、メディアの非難合戦は、要するに、日本における嫌中嫌韓感情に便乗したものであり、何の普遍性もない。

要するにメディアというのは、単なる権力の手先に過ぎない、と言うことである。



悲しいお知らせ

暮も押しつまってきましたが、皆様お変りありませんか。
 
さて、早速ですが訃報です。
 
本年11月29日に、当会の創立者の一人である世話人の窄頭正春さんが亡くなられました。
 
享年79才でした。
 
長崎県出身のお坊ちゃんでしたが、軽妙洒脱な人格で、当会を共に今日まで築いてくれました。
 
これで正清太一さん、広部敏政さんに加え、3人の世話人が他界され、当会の歴史を感じざるをえません。
 
心から冥福をお祈りします。

総選挙に勝利!リモート全国集会 (小沢先生ビデオレターあり)

20211012meeting.pdf

総選挙に勝利!シンポ実行委員会 により、開催されます。

https://ozawavl.com/archives/390

 

総選挙に勝利!リモート全国集会

日時:R03年10月12日(火)20時~22時

方法:Zoom

主催者:総選挙に勝利!シンポ実行委員会

主旨:立憲野党が総選挙に勝利するため有志が集会を開催する。

参加資格:事前お申込の方

参加費:無料

申込先:info@ozawavl.com

 

開催案内文を当会、代表世話人が寄せています。

 

開催案内:

 

2021(令和3)年10月12日(火)

「総選挙に勝利!リモート全国集会」

のご案内

 

 約8年間の総理在任中に、権力を濫用した憲法の破壊と国家財産の私物化など、やりたい放題の無法を尽した安倍は、桜を見る会問題等による刑事責任逃れのために、2020年9月に権力を放り出して逃亡した。

 安倍の刑事責任を免れさせる目的で安倍の後継者を託された菅総理も又、権力の私物化を重ねた挙げ句、その無能さ故に僅か1年で政権を放り出さざるを得なくなった。

9年間にわたる自公無能政権の後継ぎとなり、第100代の内閣総理大臣になった岸田文雄は、昨年自らを裏切った安倍の後ろ楯によって漸く総理、総裁の座を射止めたものの、無能さにおいては、安倍、菅と良い勝負で、総裁選のさ中には、安倍、麻生の傀儡に過ぎないことを暴露してしまった。

 

さて、いよいよ本年10月31日には、待望の総選挙が予定されています。

2012年に、自公に踊らされてマニフェストにも無い消費税増税を約束した挙げ句、自ら自公の軍門に下った野田佳彦代表の無能さのために、2009年に悲願の政権を獲得した民主党は、僅か3年間で政権を放棄し、その結果、この10年近くの間国民は塗炭の苦しみを押しつけられてきました。

来るべき総選挙は、国民がこの長年の恨みを晴らすべき絶好のチャンスです。

小沢一郎議員が長年の間口を酸っぱくして訴えてきた野党の統一は、まだ十分には成し遂げられてはいないものの、立憲民主党と共産党を軸とした野党統一の流れがはっきりと見えてきました。

私達としては、今度の総選挙によって野党共闘による勝利を実現し、この10年近くの間腐り切った自公政権によって破壊された日本の憲法、生活、社会を一刻も早く再生していかなくてはなりません。

 

このため、当会を中心とした小沢一郎議員を支援する各組織により結成された「総選挙に勝利!シンポ実行委員会」により、下記のとおりZoomによるシンポジウムを開催することにしました。

どうか多くの方がご参加頂き、その勢いに乗って来るべき総選挙を勝利に導こうではありませんか。

  日  時   令和3年10月12日(火)午後8時00分~

  テーマ   「総選挙での勝利を目指して」

 

以 上

 

令和3年10月

 

東京都豊島区西池袋1丁目29番5号

山の手ビル11階 伊東章法律事務所内

  電話 03(3981)2411  FAX 03(3985)8514

 http://minshushugi.net/

小沢一郎議員を支援する会

代表世話人 伊 東   章

 

 

<タリバンの復権と民主主義>

  • 2021/08/27 15:53

小沢一郎議員を支援する会 

代表世話人 伊 東   章

 

1、20年越しの米軍によるアフガン戦争が終りを告げようとしている。

アルカイーダによるとされている2001年の同時多発テロを口実にして米英軍がアフガンに対する空爆を始め、その後米軍の特殊部隊によってウサマ・ビン・ラーディンを暗殺した上で傀儡政権を樹立した。

しかし、その後もアメリカの傀儡政権に対するタリバン等愛国勢力の抵抗は続けられ、遂に20年ぶりにタリバン勢力が祖国を開放することになった。

その背景には、大統領選でバイデンに破れたトランプによるアフガンからの米軍撤退宣言と、それを受け継いだバイデン大統領による撤兵宣言が影響しているとも言える。

しかし、煎じつめれば、20年間にわたり200兆円以上の軍事出費をし、かつ2000人以上の米軍兵の戦死という代償を払っても、アフガン人民の占領はできなかった、ということである。

 

2、それにしても、2001年のアフガン戦争にしろ、それに次ぐ2003年のイラク戦争にしろ、この戦争は一体何だったのか。

アメリカ本土に対する他国の2回目の武力攻撃(もちろん1回目はわが国による真珠湾攻撃である)の元凶がアルカイーダ率いるビン・ラーディンである、とのシナリオ下で、テロの芽を摘もうというのがアフガン戦争であった(であろう)が、同時に、アメリカの覇権主義に敵対し、テロリストを養成しているとみなされた、サダム・フセインのイラクを叩き潰そうというのがイラク戦争であった。

主として米英は、その圧倒的な軍事力によって、それ迄まかりなりにも国家としての安定感を有していたアフガン、イラクの2ヶ国の旧体制を崩壊させたものの、両国を英米型の民主国家に変えることには完全に失敗したし、それよりも国内を安定させることにも成功しなかった。

 

3、では一体、米英は世界的な世論を排してまで、何のためにアフガン、イラク戦争を敢えてしたのであろう。

一つは、当時のブッシュ大統領が、同時多発テロによって落とされたアメリカの威信をとり戻すために大々的なアフガン、イラク攻撃を行なった、ということがあるだろう。

しかし、同時に、アメリカとしては、中東の石油利権を独占する、という狙いもあっただろう。

そして、更に大きいのは、戦争による経済の活性化という側面もあることだ。

米国は、20年間で約200兆円の軍事費をアフガンに投入したという。

しかし、このような膨大な国家予算の投下の裏では、軍需産業による巨大な博利が行なわれているのである。

殆どの戦争の目的は、政治的な大義名分よりも、こうした軍産複合体による戦争経済による巨額な博利であることは、資本主義経済化での戦争において例外はない。

つまり、こうしたアメリカを初めとする、いわゆる先進国と言われている旧帝国主義列強の草刈り場として、常に後進国、弱小国が犠牲にさらされているのである。

 

4、タリバン勢力が20年ぶりにアフガンの政治権力を回復したことを受け、西側(日本も含めて)諸国は、一斉に「又、アフガンではブルカをかぶることが強制され女性の権利は抑圧されることになる」などと不安を煽るような論調で一致している。

しかし、そんなことは大きなお世話だ、と言いたい。

特に、日本のメディアは、自国の人権侵害については目をつむり、専ら、外国(主として日本が快く思わない、中国、北朝鮮、韓国、ロシアなど)の人権問題を声高に論評する。

あなた方が偉そうに外国の人権問題を論評する程、日本の人権意識が十分であると言えるのだろうか。

それぞれの国には、それぞれに古くからの歴史、伝統、しきたり、文化があり、それに従って国の政治、社会の有り方が出来上っているのである。

それを無視して、たかだか200年前に建国されたアメリカの民主主義で世界を統治しよう、などという発想自体がおこがましい(もっとも、日本は、僅か70数年の間にアメリカの「民主主義」によって染め上げられてしまったが)。

資本主義経済が全世界を覆い尽すようになって、資本主義的価値観が世界に万延するようになったが、だからと言って、すべての国が、アメリカやイギリスの価値観をすべて受け入れるとは限らないのである。

その意味では、アメリカが中東において、どんなに軍事力と経済力を投下しても、中東の国すべてがアメリカ化することはない。

要するに、民主主義の輸出も輸入もできないのである。

 

今や、世界的なコロナ禍の中で、従来の社会のあり方が、すべての領域で見直されるべき時が来ている。

誰もが十分に働けて豊かで安心な生活ができない社会が、アフガンやイラクより優れているなどとは言えないであろう。

ましてや、コロナ禍で毎日1万人の人間が罹患し、毎日何十人もの国民が死亡しているのに、これに対応する医療体制も不十分な国の現状を無視して、オリンピック、パラリンピックなど全く無駄なことに大金を費やしている場合ではあるまい。

そろそろ日本も、アメリカの支配から脱却して日本独自の文化に根ざした民主主義国家を打ち樹てるべきである。

 

 

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